2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

春の雪と夏の真珠(第六話)

第六話 昨日に続いて今日も凰佑を送っていくのは妻だ。駅までの道のり、どうにもぼんやりとしてしまうなか、昨夜に夏珠から来たメールを見ていなかったことに気がついた。 メールの内容は当たり障りのないシンプルなもので、会えて嬉しかったこと、またゆっ…

春の雪と夏の真珠(第五話)

第五話 時折吹く強く冷たい風に煽られながら俺たちは立ちっぱなしのまま昔話に花を咲かせてしまっていた。人がほとんど通らない暗い道とはいえ保育園は目と鼻の先にあり、他の保育士や保護者がどこで見ているかわからない。保育士と保護者が道すがら偶然会っ…

春の雪と夏の真珠(第四話)

第四話 俺たちが一番初めに出会ったとき、それはまだ中学生だった。高校受験に向けて塾などに通う人が増えるのは中学も三年になってからだが、俺はそこそこ勉強は真面目にやっているほうで二年の終わりには塾に通い出していた。 夏珠とはその塾で初めて出会…

春の雪と夏の真珠(第三話)

第三話 「保育園に預けた子どもの担任が元カノだったなんて設定どう思う?」 大学時代から仲良くしている友達と久々に二人で飲むことになりお酒の力を借りて口走ってしまった。 「何それ? 小説かなんか?」 「うん、そうそう。ネットサーフィンしててたまた…

春の雪と夏の真珠(第二話)

第二話 その女性のことを俺は本当によく知っていた。だから正確に言えばそれは再会ということになる。 十四年。 それだけの月日が流れてなお鮮明に覚えていたし、当時から十四年後の姿を見ても本人であるとすぐに分かった。 幸か不幸かすぐに仕事に行かなけ…

春の雪と夏の真珠(第一話)

第一話 例年より少し遅れて桜が満開となった。冬の訪れが遅かったぶん春も後ろにずれ込む格好となったようだ。 スタートや出会いの季節を後押しするように満開の桜が咲き誇り、誰もが新生活は明るいとの夢を見て春の陽気をぼんやり楽しんでいるように思える…

物語を届けたい一心です。

みなさま、こんにちは。 おうすけといいます。 小説やアニメなど物語があるものがとにかく好きで、かねてから自分でも小説を執筆してみたいと思っていました。 それでも結局のところ、先延ばし先延ばしの繰り返し。 なにかと都合の良い言い訳をして小説を書…